okamehachimokuのブログ

日々の日記と創作

創作・・「真千子」No.1(他小説投稿サイトで公開済み)

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「明日帰る」


夫からの連絡は、電話にしろメールにしろ、そっけない。

帰る!だけ。


夫は昨年退職した。窓際族であったとしても本社で数年は働けたはずが、馬鹿馬鹿しい!という理由で、60歳ですっきり退職した。



長い間、殆どは海外での単身赴任生活。本社に戻って、何をするんだ?!

技術屋だった夫は口数が少なく、お世辞など一度たりとも口から吐いたことは無いだろう。


6歳下の私は、友人達が結婚生活云々と話していても、特に何も無かった。不満も無く、特別な嬉しいこともなく。


つまらないといえば、つまらない結婚生活だったかもしれない。


私は祖父の代から続く不動産屋を引き継いでいたので、あまり、夫婦の在り方などについて考えることもなかった。

男女1人ずつの子育て、家事、仕事、そして、介護と、日々忙しい生活だった。

いつも私は、夫が単身赴任で留守だから、なんとかやってこれたかもと頭の片隅では思っていた。


夫の日々の世話まであるとしたら、ギブアップしていたかもしれない。


夫30歳、私24歳の時、親戚一同の薦めで結婚し、

翌年、翌々年と、出産。年子だった。


祖父や両親は喜んだ、まだまだ生まれるかもしれないと。


母も父も、ひとりっ子だったから。出来るだけ沢山の子が欲しいと祖父は言って、私は子供を産むマシンなのか?!と反発したことを覚えている。


夫の方は、何やら子沢山血統で、夫は5人兄弟姉妹の末っ子。両親も共に兄弟姉妹が沢山いる。


私の祖父は、どうもそこに目をつけたようで、子沢山血統の男を私の伴侶にしたかったらしい。


しかし、夫は、34歳から海外単身赴任生活が始まり、子作りは、2人が生まれてストップした。


祖父は私が沢山の不動産を継がなければならないのだから、宅建主任者試験を初めに、次は不動産鑑定士もと、資格取得を当たり前の事のように義務付け、私には暇が無かった。

何かに楽しむ暇はなかった。



海外から3カ月に一度の割合で夫は帰宅する。

だいたいは2週間ほどは休暇になっていて、しかし、子供達の都合や私の都合もあって、どこかへ家族で旅行をすることすら無かった。

子供達の長い休みに、私と、祖父母と子供達で、スキーに海に、ハワイにと出掛けはしたけれど、そこに夫はいなかった。


思い出してみても、海外から戻った夫は彼の両親や兄や姉のところへ挨拶に行き、夜は私を激しく抱いて、朝まで離さなかった。

私は、海外での生活で、夫はそちらの相手をする女性がいないはずは無いと考えていた。

追求したことは無かったけれど、帰宅するまでの3カ月間、それ無くして済ませられるはずはないと思っていた。



無口で頑健な体、お世辞など言わない。

子供達は父を慕っていた。派手さはなく、朴訥で大会社に勤めていて。

子供達には自慢の父親だった。


私は波風をたてる余裕すらなく、日々の生活に追われていた。

子供達はそれぞれ結婚して、祖父母も亡くなり、広い家には、私だけになっていて。

夫が退職したら、家を処分してマンションでも買って移り住もうと考えていた。

しかし、夫は退職すると、退職金の25%は自分のものにしたい。自由に使いたいと言い出して、日本人なのに日本を知らない、しばらくは、1人で日本を歩いてみたいと言い出した。


子供2人と私と、4人家族だから、退職金は25%は権利ある。


好きにして下さい!としか私は言わなかった。


夫婦とは何だろうかと、55歳になって、やっと怒りが込み上げてきて。しかし、夫と話し合わなければと思う時に不動産の仕事にトラブル発生したりと、忙しくなる。私は、父の後を継いで社長に就任していた。


社員も80名ほどいて、パートさんを含めると、110人を超えている。

ぼんやりしている時間は無かった。


夫は、退職して、あちこち挨拶が終わると旅に出た。


準備する間の1週間あまり、よくまあ、還暦を過ぎたはずなのに元気な人だわと、半ば呆れてしまうくらいに、夜の方は元気で。


抱きたくなった。

したくなった。真千子を欲しい。


そんな一言を呟き、旅から定期的に帰宅して、昼夜と私を陵辱すると、また旅立つ。


私はいちいち夫に相談する必要もないと考えて、祖父が建て、父が増築し、私が維持してきた大きな家を処分した。


庭も含めると400坪少し。

大手の建築会社とすぐ契約になり、

私は、自分の会社が所有する分譲マンションに引っ越した。


夫は、それについても、


ああ、そう!!


の一言だけで。


いったい何を考えて生きているのかと、私は初めて自分の夫に強い憤りと不満をもってしまった。




「あなた!!あなたは、私を何と考えています?

もう、別れましょう!」



夫は、そうか、、


一言、「そうか、」


だけだった。


真千子の怒りは頂点に達したのは言うまでもない。




       ・ 続く ・

よろしくね。