okamehachimokuのブログ

日々の日記と創作

創作・・「許せる人」No.4(他小説投稿サイトに公開済み)

okamehachimoku

 夏が終わり、秋が過ぎ、冬を迎え、道路に枯れ葉が風に舞う頃、司は2週続けて五月に電話をかけては来なかった。


 政界が揺れているので、政治部の記者は忙しいのだろうと思おうとしていた五月だったが。


 仕事から戻ると、濃いネイビーの太目の糸で司のカーディガンを編んでいた。

一番最初はマフラー、次の年はセーター、次はカウチン、、司はそのどれもを使い続けてくれている。


 五月は司を好きなことは確かだが、結婚したいとまでは思えなく、ただ、五月は司以外の男は知らない。  


 クリスマスはどうしようかと家の中でも言い始め、五月は返事のしようがなかった。

五月の兄はオランダで、1つ下の妹はフランスで、それぞれ伴侶を見つけ暮らしている。 


 五月の両親は、子供は自分達の思い通りにはならないものと諦めてしまったのか、五月に、どうしろこうしろとは一切言わない。


27才にもなったら、自分で自分の生き方を見つけなさいということだろうか。

  


12月の始め、司から電話がかかり、それは別れの電話だった。        


「すまない、、マイが、笑うようになった。

俺の顔をみると笑顔になる、、。それが、可愛い、すごく可愛い、、。

サツキ、、別れてくれ、俺たち、結婚の約束した訳でもないから、、、。

俺は五月を愛していたよ、これだけ長く付き合ったのは五月だけだ、、、。


しかし、マイは、俺がいないとダメだ、俺が守ってやらないとな、、結婚することにしたよ。」    


「そう、笑ったの?! マイさんが笑ったら、可愛いと思うわ、、。 もう、抱いたの?」     


「ああ、、やはり、バージンだったよ、、」   


「わかった、じゃ、さよならね、幸せにね!」


 

 プチンと電話を切り、携帯から司の電話番号とアドレスは削除、パソコンを開き、同じく、司のアドレスを削除した。


 編みかけのカーディガンから針を抜き、解き始めると、涙がポトポト、ポトポト止まらない、いつまでもいつまでも、拭いても拭いても涙が。

泣いた、司のことで泣いた、男のことで初めて泣いた。

解いた毛糸は丸めてゴミ箱へ捨てた。   


 母には司と別れたことは話した。



 それから、五月は仕事に没頭した。

外資系の損保会社。

今まで、あくまで中くらいの成績を維持していた五月だったが、鬼のように契約獲得戦略を実行して2か月後にはトップになり、表彰された。


 しかし、社内では、決して笑わない女として、笑わない鬼のような女と言われるようになっていた五月だった。  


 五月は言われているのは知っていたが、笑わないことはある意味楽だった。






        🌷  終  🌷